今日は令和2年度の一級建築士の製図試験でしたね。
受験されたみなさま、大変お疲れ様でした。
私は大学院卒業後、設計事務所で働き始めて3年目に一級建築士試験に合格しました。お金が惜しかったので、学科は独学、製図は一番安い予備校(TAC)に通いました。
設計事務所(特にアトリエ)で働いている人は、勉強時間とお金の捻出に苦労しますよね。
同じような境遇の人の一助になればと思い、私が学科試験を独学合格するために必要だったものを書いておこうと思います。
(ちなみに、お金も時間もある人はつべこべ言わずに資格学校に通うことをおすすめします)
なお、本試験(令和元年)での私の得点は
106/125点(計画17 環境18 法規25 構造26 施工20) でした。
合格基準点が97点と異様に高い年だったとはいえ、独学でも100点越えは達成することができました!
独学で学科合格するために使用したもの(重要度順)
①「1級建築士」受験対策(iPhone app)
②1級建築士試験学科ポイント整理と確認問題
③総合資格 建築関係法令集 法令編S
④TAC建築士講師室ブログ
⑤1級建築士試験学科過去問スーパー7
⑥法規のウラ指導
⑦図説・やさしい構造力学
⑧施工がわかるイラスト建築生産入門
それぞれ解説していきます。
①「1級建築士」受験対策(iPhone app)
重要度ナンバーワン、独学でやる人はとにかく必須のアプリです。もうこれやるだけで合格といっても過言ではないです。試験の過去問を分野ごとに一問一答で解くことができるすぐれもの。
一級建築士試験は過去問からの出題が約7割といわれています。とにかく過去問を繰り返し繰り返し解くことが大切なわけですが、重たい過去問集を何度もめくって、しかも年度ごとに回答・答え合わせをしていたのでは効率が悪すぎる!!
アプリなら【分野ごと・1選択肢ずつ】をゲーム感覚で解けるので、知識のインプットがめちゃめちゃ容易です。間違えた瞬間に解説をみれるのも良い。
おすすめの使い方
・最初は難易度設定を「易しい」にして○×正誤問題(一問一答)を解き、ざっくり傾向を理解する
・設定で「2段階チェックを使用する」「問題をランダムに並び替え」をON
・難易度設定を「難しい」にし、分野ごとに○×正誤問題(一問一答)をやっていく。明らかに理解できているもの以外にチェックをつけて繰り返し解けるようにする
・チェックありの問題のみを表示させひたすら繰り返し解く
以上。
問題によりますが私は3~6周はしました。アプリなので電車の中や寝る前にサクサクできちゃいます。間違えた問題だけを繰り返し解けるのが良いですね。
ちなみにダウンロードは無料、アプリ内課金(960円)がありますが過去問題集買ったと思っても安すぎです。絶対に買うべき。「1級建築士」受験対策
②1級建築士試験学科ポイント整理と確認問題
総合資格さんが出してる超コンパクトな本です。
アプリでいきなり過去問を解こうと思っても、前提となる知識がないので最初はなんのこっちゃ?です。でも一級建築士試験の範囲は、すべてを勉強してから解く、なんてことができるような量ではありません。そこでこの要点ポイントまとめが大活躍です。
これ一冊で試験範囲すべてを網羅!!というにはあまりにも薄い。。。けれど、最初にいれる知識はこれくらいで十分です。もっと大きい本や科目ごとの分厚い本もたくさんありますが、実際そんなにたくさん読んでも膨大すぎて覚えられません。それよりは一番大事なところだけ抑えて、あとは問題を解きまくった方が効率的です。
おすすめの使い方
・アプリを解く前に該当する分野のページをしっかり読むだけ!
ちなみに4月頃に試験の申込会場に行くと、出口付近に資格学校の営業の人たちがわんさかいて、個人情報と引き換えに無料でもらえたりします。
令和2年度版 1級建築士試験学科ポイント整理と確認問題
(注意:購入するひとは令和3年度版が発売されてから買ってください)
③総合資格 建築関係法令集 法令編S
法規の試験で唯一持ち込みが許可されている法令集。いろんな出版社のものがありますが、断トツで総合資格学院さんのものがおすすめです。
やはり試験専用に作られているだけあってインデックスがわかりやすく、よく出る関連条文などもめちゃめちゃ飛びやすい。改行や記号などを駆使して超使いやすくしてくれています。
普通サイズ/Sサイズがありますが、Sサイズがめくりやすく小回りがきくのでおすすめです。
おすすめの使い方
線引きは赤青ボールペンだと条文が見にくくなるので、フリクションライトマーカーを推奨です。裏映り防止のため絶対にソフトカラーで!ピンクと青の二色を使用しました。
過剰な書き込みはNGですが、下線や記号を駆使して爆速で引けるオリジナル法令集を作りましょう。
(しかしこの線引きのシステムどうにかならないのかねといつも思います、この令和の時代にいまだに紙に手書きで線引き必須って、、いみわからん、、)
ちなみに仕事用には井上書院のものを使ってます。書き込み範囲が広くてよき。
④TAC建築士講師室ブログ
資格学校のTACの講師が書いているお役立ちブログです。間違いやすいポイントに絞って用語の解説などをしてくれているのですが、さすが資格学校、めちゃわかりやすい。
一度に読むのは大変なので、勉強の息抜きにちょこちょこ読んでいました。特に計画の実例暗記法・構造・施工は全部必見。覚えにくい用語・数字を表などで整理し、分かりやすく説明してくれてます。
一通りアプリをやったあとに読むと知識が体系づけられて良いです。
⑤1級建築士試験学科過去問スーパー7
アプリがあるので過去問はいらないのでは?という気持ちもあるのですが、図を使った問題や計算問題など一部アプリでは解けないものもあるので、こちらを使います。
過去問は20年分必須!なんて声もたまにききますが、個人的には7年分も解けば十分、、と思いました。
おすすめの使い方
・環境の図問題や法規・構造の計算問題に絞って使用
・試験直前(1か月前)頃に時間を図って本番形式で実力試し
なおN建学院さんなども出してますが、総合資格学院さんのものが解説が丁寧でわかりやすいのでおすすめです。
(注意:購入するひとは令和3年度版が発売されてから買ってください)
独学する上で絶対に必要なのはここまで。
残りの3つは科目ごとに参考になったものを挙げておきます。
⑥法規のウラ指導
実はアプリには法規の問題が含まれていません。建築基準法は毎年のように改正があり、過去問で正解だったものでも現行法規では不正解、ということがよくあるからです。
基本的には最新の法令集を使いながら過去問を解いていけばオッケーですが、法文の読み方や計算問題の解き方の基本を解説してくれる本が一冊あると良いです。
市販のもので容積率・建蔽率や道路斜線などの図を使った計算問題のやり方をこれ以上わかりやすく解説しているものは今のところみたことありません。。(というか他に選択肢がない)
おすすめの使い方
本の趣旨としては、「問題を解きながら線引きする」ことが大事とうたっているのですが、線引きは法令集付属のものでさっさと終わらせてしまい、この本は計算問題のトレーニングとして使うのがベストです。
⑦図説 やさしい構造力学
構造の計算問題の基礎の基礎を分かりやすく教えてくれる本です。大学で構造力学やっているはずなのですが、すっかり忘れてしまっていたので一旦基礎からやりました。
これを一通り解き(わかるところは飛ばしてOK)、②要点整理と項目別ポイント問題と過去問をやっておけばまず問題ありません。
数ある構造力学の本でも図解が多くてわかりやすく、超初心者向け。構造苦手なひとはぜひ。改訂版 図説 やさしい構造力学
⑧施工がわかるイラスト建築生産入門
建築士試験向けに作られた本ではないのですが、施工の用語や仕組みを理解するためにとてもおすすめの本です。特に小さな設計事務所に勤めてる人では、SRC造の超高層なんて設計したことがない人がほとんどだと思いますが、試験では普通にでてきます。
施工管理の立場から、建物の作り方を綺麗なイラスト図解で理解できるので大変おすすめです。施工がわかるイラスト建築生産入門
まとめ
以上、独学で一級建築士学科試験と突破するための8つのアイテムを紹介しました。
細かい数値が多く、暗記ばかりで辟易する試験ですが、設計の実務にも直接役にたつことが多いので、勉強しがいのある内容だと思います。
これから勉強する方の一助になれば幸いです。がんばってください!